大妻女子大学 金城ゼミインタビュー
第3回:大学生から地方自治体ウェブサイトへの3つの提言
[ 2009年4月6日 ]
前回に引き続き、大妻女子大学・社会情報学部・社会情報処理学専攻の金城光(きんじょうひかり)先生と、「地方自治体のWebアクセシビリティ~インターネット利用状況調査とサイト実証研究から探る~」と題する卒論を書かれ、3月に卒業された船井絵理さんへのインタビューをご紹介します。
地方自治体のウェブサイトの在り方:3つの提言
アンケート調査とサイト実証実験の結果を踏まえ、船井さんは地方自治体のウェブサイトの在り方について、次の3つの提言をしています。
- 情報弱者である高齢者や障害者へ配慮されるように公共機関としてウェブアクセシビリティを意識したサイト作りをする。
- わかりやすい言葉で情報を見つけやすくする。特にSEO(検索エンジン)の検索結果で上位表示されるものを工夫する。
- 行政だけではなく、市民の身近なニーズをコンテンツに取り入れる。
アライド:卒論としてまとめていく時に、どういうことを最終的に知りたかったのでしょうか。その結果、想定どおりだったのか、違ったのかも教えてください。
船井:地方自治体ウェブサイトのアクセシビリティということについて、一般のユーザーがどう思っているかを聞いて分析し、提言するということを目的にしました。結果は大きく2つになると思っていましたが、3つになってしまいました。3つ目というのは、市民や企業も協力して魅力あるコンテンツを取り入れるということです。自治体のサイトは情報が載っているけれど、魅力が伝わっていないところがあると思います。例えば、アンケートをした時に、クーポンがあればいいなという声がありました。観光情報にクーポンを取り入れるなどすれば、観光情報を見る人も増えると思うので、そういったことを提言しました。あとの2つは高齢者や障害者を含めてウェブサイトとして必要な対応は、自治体のサイトとしてきちんとやるべきであること、検索エンジンなどニーズに合わせて見つけやすさを工夫するということです。
自治体サイトに言いたいこと
アライド:自治体や、自治体のサイト担当者に向けて、こういう風にした方がいいのではないか、こういう取り組みをして欲しい、などのご意見がありましたらお願いします。
船井:私自身ホームページを作成して思ったことですが、自分だけが使いやすい方向に行ってしまったり、自分が使いやすければ皆も使いやすいのだと錯覚してしまったりすることがあります。自治体では部ごとにページを作っていることがあると思いますが、違う部のものを見て評価しあうことで色々なアイディアも出てくると思うので、部ごとではなく全体としてサイトを良くしていくための交流があるといいと思います。
アライド:縦割りに、部署単位だけで見るのではなく、他部署の人とも情報交換をしてはどうか、ということですね。金城先生からはいかがですか。
金城:彼女の研究を通して思ったのが、ウェブ上の情報と広報紙とのリンクがあまりない気がしました。それらが相互作用できるようになれば、広報紙の読者もウェブの読者も増えると思います。
アライド:そうですね。今回携帯電話のサイトはご覧になりましたか。
船井:サイト実証実験の対象とした自治体の携帯サイトは見ました。利用はできるな、という程度で、不満はないのですが、詳しく見るといったところまではいっていません。
アライド:積極的に使おうというものにはなっていないということですね。