災害時の情報受発信
第2回:災害時に求められる「ニーズの把握」
[ 2011年12月6日 ]
寄稿
Cocktailz
伊敷 政英さん
ウェブアクセシビリティに関する調査や講演、執筆活動等を行っているCocktailz(カクテルズ)の伊敷政英さん。先天性の弱視の視覚障害を持つ立場から様々な情報発信を行っている伊敷さんに、東日本大震災以降、視覚・聴覚障害者がどのように情報を得てきたのか、その中で見えてきた課題や、災害時の情報発信の在り方とウェブアクセシビリティの必要性についてお話いただく連載の第2回目です。
はじめに
東日本大震災の後、被災した方々はさまざまな場所で避難生活を送っています。そして被災自治体の職員の方々は住民の状況を把握し、ニーズをつかみ、物資を届けたり炊き出しを行ったり、自治体としての機能回復に向けて動き回っています。
被災者のニーズに合ったきめ細かな支援を行うためには、被災者の状況やニーズをいかに正確に把握するかが大変重要です。しかし今回の震災では特に、障害者の被災状況の把握が困難でした。そこでこのコラムでは、災害時の障害者支援における状況把握の課題についてお話しします。
3年間お世話になった東北に何ができるか?
コラムの「第1回:3.11 その時視覚・聴覚障害者は…」でも書きましたが、私は3年ほど仙台に住んでいた経験があります。当時の友人・知人は今でも仙台で暮らしており、3月の震災で多くの人が被災しました。
震災直後の安否確認にはTwitterが便利に使えましたが、その後、避難生活を送っている方々の状況や、避難生活の中で必要なものなどの情報はなかなか集まりませんでした。
被災自治体でも、障害者の被災状況の把握は困難だったようです。震災1か月後ぐらいから、「障害者の被災状況把握が進んでいない」という内容の新聞記事が出ていました。震災後、各地の避難所や自宅などで避難生活を送っている障害者の現状や支援のニーズを把握できていないという内容の記事です。