第9回「関連サイトを含めた全庁的なアクセシビリティ推進」~川崎市の新たな取組と重視していること~(前編)
[ 2017年7月12日 ]
ゲスト
川崎市総務企画局シティプロモーション推進室 広報担当 放送・映像 担当係長
遠藤佳宏さん
川崎市では、平成24年10月に公式ホームページの全面リニューアルを実施し、それ以降、定期的な全ファイルの検証と職員研修の実施を軸に、ウェブアクセシビリティの確保・維持・向上の取組を継続されています。
継続的に実施している取組、公式ホームページ以外のホームページ等への働きかけの状況などについて、川崎市総務企画局シティプロモーション推進室の遠藤佳宏さんにお伺いしました。
遠藤さんは、「みんなの公共サイト運用モデル2015年度改定に関する研究会」の構成員として「みんなの公共サイト運用ガイドライン(2016年版)」の検討に参画され、2016年4月に公表された同ガイドラインの内容も踏まえ、川崎市の取組を推進されています。
1.音声でパソコンを利用する職員から学ぶこと
アライド:遠藤さんご自身がウェブアクセシビリティを知ったきっかけはどのようなことだったのですか。
遠藤:現職に異動する以前に、市の取組としてのウェブアクセシビリティ研修に参加しましたので、音声読上げソフトなどについて知識としては知っていました。特に深く考えるようになったのは、現職に異動してウェブアクセシビリティを推進する立場になってからです。シティプロモーション推進室には全盲の職員が勤務しています。その方は音声でパソコンを利用していますが、率直にすごいなと感じます。音声読上げソフトを使って送られてきた文書の内容を確認したり、インターネット上で情報を集めたり、いろいろなことを目が見えない中で作業しておられますが、自分がもし目が見えなかったら、と想像してみると、その方と同じように業務を行えるとは思えません。私よりもHTMLソースの知識もあり、日々教えてもらうことも多いです。こうした職場の環境からも、ウェブアクセシビリティの大切さを痛感しますね。
2.多様性を重視する市の政策をふまえウェブアクセシビリティの取組を実施
アライド:川崎市においてウェブアクセシビリティの取組はどのように位置づけられているのでしょうか。
遠藤:川崎市では、2016年度に「人々の多様性を大切にしていこう」という趣旨の市のブランドメッセージを策定しました。また、同じく2016年度に、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて新しい組織を立ち上げ、「かわさきパラムーブメント」という形で、2020年以降にも残るような多様性を重視したレガシーを作っていこうという取組を進めているところです。市のホームページのアクセシビリティは、このような市全体の政策とも合致する取組であり、重要視しています。