第5回A.A.O.セミナー
「2006年 自治体サイト 全ページアクセシビリティ実態調査報告」
アライド・ブレインズでは、2006年8月から10月にかけて実施した「2006年 自治体サイト 全ページアクセシビリティ実態調査」の調査結果をもとに、自治体ウェブサイトにおけるアクセシビリティへの取り組みの方向性について考えるセミナーを、11月7日に開催いたしました。
セミナーでは、2名の講師による講演とパネルディスカッションが行われました。パネルディスカッションでは、障害者のパソコン利用を支援されている方、実際に障害をお持ちのユーザーの方をお迎えして、自治体ウェブサイトの持つ役割や普段の活用事例、アクセシビリティ配慮の方向性についてお話いただきました。
お忙しい中遠方からもたくさんの自治体の方々にご参加いただきました。どうもありがとうございました。
セミナー後記
結果解説「2006年 自治体サイト 全ページアクセシビリティ実態調査の概要と注目すべき点」
講師:取締役副社長 目次 徹也(めつぎ てつや)
最近いろいろな自治体の皆様にお話をお聞きしている中で、ホームページに対する取り組み状況にかなり差が出てきているように感じていましたが、調査結果をみるとその状況がより鮮明に出ていたのには、少し驚きました。
取り組みが遅れているケースについては多くの共通点があり、これも非常に興味深いものがありました。トップページについて情報量が多いというのは、その典型的な例だと思います。
また、CMSについては、導入及び運用をうまく行うことができれば、アクセシビリティだけでなくホームページ全体の使い勝手をよくすることができるということも確認できました。一方で、事前に行うべき作業を行わずにCMSを入れてしまい運用がうまくいっていないケース、或いは導入したものの全面的に移行していないケースも相当数あるようです。CMSを導入したことにより、問題を大きくしてしまっている場合もありそうです。
今回のセミナーで参加された皆様から貴重なご意見をいただいておりますので、今後の調査、或いはセミナーに活かしていきたいと考えています。
講演「アクセシビリティ向上のアプローチと品質管理の導入」
講師:シニアコンサルタント 大久保 翌(おおくぼ あきら)
参加される皆様の課題や問題意識に変化を感じます。2~3年前は、まず「配慮の重要性」について理解いただくことが先決でしたが、今回のセミナーでは、「今のサイトを少しでも良くするために出来ることは何か」「リニューアルを間近に控えているが気をつけるべきことは何か」というように、具体的な課題や問題意識を持って参加された方が多かったのではないでしょうか。
私からは、「アクセシビリティ配慮の状態をサイト全体で把握し、次の対策を考えることの重要性」についてお話しました。現状把握には、複数の手法があります。サイト全体を網羅的に把握することが出来るツール解析、ガイドラインやJISなどの項目に沿って正確な評価を行う専門家評価、まさに利用者の視点で実際に使えるかどうかを確認するユーザー評価、それぞれに長所と短所があることを理解した上で活かしていただきたいと思います。
今後も現場の皆さまと情報や意見を交換させていただきながら、利用者がきちんと使える、使いやすいサイトに近づけていくための現実解を模索していきたいと思います。
パネルディスカッション「障害者・高齢者ユーザーから見た自治体サイトの現状」
パネリスト(50音順):コンサルタント 伊敷 政英(いしき まさひで) / 坂戸パソコンボランティア代表 岩渕 正樹(いわぶち まさき)氏 / 鶴ヶ島視覚障害者の会「アイネット」会長 宇佐美 昭治(うさみ しょうじ)氏
今回はパネルディスカッションでお話をさせていただきました。45分という短い時間でしたが、少しでも有意義な情報をお届けできましたでしょうか。
大久保の講演でもご説明させていただきましたとおり、アクセシビリティへの取り組みの第1歩として現状把握はとても大事なステップです。ツールによるチェック、専門家によるチェック、そしてユーザーによる評価。それぞれ一長一短がありますので、これらを組み合わせてウェブサイトの現状を把握する必要があると思います。
パネルディスカッションでは、地図・道案内のお話や、PDFのアクセシビリティについてのお話、メールによるコミュニケーションの必要性など、普段アクセシビリティガイドラインではあまり取り上げられない、まさに「生の声」をお届けすることができたかと思います。
今後もセミナーやA.A.O.などを通じて、ユーザーの生の声をお届けしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。(伊敷 政英)
開催概要
- 名称: 第5回A.A.O.セミナー 「2006年 自治体サイト 全ページアクセシビリティ実態調査報告 ~サイト全体のファイル解析調査からサイトの品質管理を考える~」
- 日時: 2006年11月7日(火曜) 13時30分から16時30分まで
(受付開始 13時00分より) - 場所: 東京国際フォーラム G402 (ガラス棟:Gブロック 4階)
東京都千代田区丸の内3丁目5番1号 - 主催: アライド・ブレインズ株式会社
- 対象: 自治体、その他公共機関の方
(対象外の方でご参加希望の方は、事務局までお問合せください) - 参加費: 無料
- 定員: 50名(事前登録制。定員になり次第締切)
プログラム
- 1.開催挨拶「調査のねらいと自治体サイトへの期待」
- (アライド・ブレインズ株式会社 代表取締役社長 内田 斉)
- 2.結果解説「2006年 自治体サイト 全ページアクセシビリティ実態調査の概要と注目すべき点」
- 今回の調査はサイト全体のファイルを解析していることが特徴です。調査結果の概要と、調査から見えてきた自治体サイトのアクセシビリティ対応の現状、問題点について解説します。(講師:取締役副社長 目次 徹也)
- 3.講演「アクセシビリティ向上のアプローチと品質管理の導入」
- サイト全体のアクセシビリティ向上のために、どのような考え方、手法を導入すべきか。様々な自治体の支援経験をもとに、「みんなの公共サイト運用モデル」を踏まえた対応ポイントを解説します。(講師:コンサルタント 大久保 翌)
- 4.パネルディスカッション「障害者・高齢者ユーザーから見た自治体サイトの現状」
- ユーザーは実際にどのような問題を感じているか、障害のあるユーザー、高齢者・障害者の支援者を招き、自治体サイトに求められる対応を考えます。
- パネリスト(予定:50音順):伊敷政英(障害者ユーザー:コンサルタント) / 岩渕正樹氏(坂戸パソコンボランティア代表) / 宇佐美昭治氏(鶴ヶ島視覚障害者の会「アイネット」会長) /
大久保 翌(コーディネーター:コンサルタント)
講師(予定)
目次徹也(めつぎてつや)
アライド・ブレインズ株式会社 エグゼクティブディレクター
官公庁、自治体などのウェブサイト関連のプロジェクトを多数担当。アクセシビリティ確保、CMS導入、地域コミュニケーションの活性化などについて、行政に対するアドバイザリー業務を手がけるとともに、企業のICT戦略を経営の観点を重視してコンサルティング、および企画、設計を支援。
大久保翌(おおくぼあきら)
アライド・ブレインズ株式会社 シニアコンサルタント
利用者にとって分かりやすく使いやすいウェブサイトの実現を支援するために、各種診断及び改善のアドバイザリー業務、リニューアル設計、掲載情報の分類見直し、CMS導入プロジェクト支援などの業務を幅広く手がける。日本規格協会情報アクセシビリティの国際標準化調査研究委員会(WG3)委員(2007~2008年度)。情報通信アクセス協議会ウェブアクセシビリティ基盤委員会委員(2012年度)、WG1委員(2012年度~)WG3委員(2010年度~2011年度)。平成26年度JIS X 8341-3原案作成委員会分科会委員。
アライド・ブレインズ株式会社 (セミナー担当)
電話:03-3261-7431 / FAX:03-3261-7432
Eメール:office@aao.ne.jp