連載「JIS X 8341-3改正動向と公共機関HPに必要な対応」
第3回「総務省JIS対応状況調査結果に注目」
[ 2024年4月25日 ]
執筆担当
大谷 昌也
(おおたに まさや)
本連載は、ウェブアクセシビリティのJIS改正、総務省みんなの公共サイト運用ガイドライン(2024年版)などの最新動向、公共機関ホームページに求められる対応を、総務省推進事業事務局を毎年担当しているアライド・ブレインズのコンサルタントが解説します。
2023年度公共機関HPのアクセシビリティ対応状況公表
総務省より令和5年度「公的機関のウェブアクセシビリティ対応の促進に関する調査報告書」が公開されました。
報告書には、公共機関HPのウェブアクセシビリティ対応状況の調査結果が掲載され、調査対象団体には個別に調査結果が郵送されました。
調査対象団体
- 国の機関、町村、独立行政法人、地方独立行政法人(2024年2月結果郵送)
- 都道府県、市、東京23区(2023年3月結果郵送)
公共機関HPの2ページに1ページに、アクセシビリティの問題あり
調査の結果、対象公共機関HPの約半数(48.8%)のページに、ウェブアクセシビリティのJIS規格(JIS X 8341-3:2016)の適合レベルA及びAAの問題があることがわかりました。
この調査は機械的に検証可能な事項のみが対象です。JIS規格の7割程度の項目は目視による確認が必要であり、より多くのページにアクセシビリティの問題があることが予想されます。
弊社では例年多数の公共機関HPの試験や検証を担当していますが、上記調査結果より問題の検出率ははるかに高いです。
公表試験結果が誤っている可能性がある団体が多数
上記調査と並行して行われたアンケート調査において、自団体のJIS規格への適合試験結果として「適合レベルAA準拠」と回答した団体の約3割が、JIS対応状況調査において問題の検出割合が50%以上でした。
適合レベルAA準拠は、JIS規格の適合レベルAAまでの基準に全く問題がないことを確認できた場合に達成可能な品質です。
調査対象団体のご担当者様は、自団体の調査結果と、公表している試験結果を見比べて、適正な公表を行えているか確認してください。
誤った取組については、セミナー、コラム等を通じて今後解説を予定しています。
まずは「JIS対応状況調査」の結果確認から
総務省「JIS対応状況調査」をご存知でなかった皆様は、まずは調査結果を確認いただき、ホームページ全体の現状を把握することから始めてみてください。
次回のコラムでは、総務省「みんなの公共サイト運用ガイドライン」の改定や、JIS規格の改正に向けて求められる対応について、解説予定です。
解説セミナー
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次回以降のコラム
次回以降のコラムでは、JIS改正の内容、公共機関ホームページへの影響、JIS改正に向けて公表される予定の総務省ガイドライン改訂版などについて、解説予定です。
- 第4回「総務省みんなの公共サイト運用ガイドライン改訂」 4月下旬頃予定
- 第5回「適切でない取組(1)」 5月上旬頃予定
- 第6回「適切でない取組(2)」 5月下旬頃予定
お問い合わせ先
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