- データで診る自治体サイト -
No.1 サイトの規模とアクセシビリティ対応の関係
[ 2007年2月7日 ]
執筆担当
目次 徹也
(めつぎ てつや)
全国自治体サイトの総ページ数は
他の分野のウェブサイトと比べて、自治体サイトはページ数が多いのがひとつの特徴です。自治体の規模にもよりますが、数千ページ、数万ページのサイトが珍しくありません。
アライド・ブレインズが2006年8月から10月にかけて実施した、ウェブサイト解析プログラムCRONOS2による「2006年自治体サイト全ページアクセシビリティ実態調査」の結果を見てみましょう。
調査対象とした自治体180サイト(人口20万人以上自治体及び東京23区)の平均は25,030ページでした。自治体によって数には幅があり、最も少ない自治体では1,197ページ、一方、最も多い自治体では198,561ページという非常に大規模なサイトになっています。
皆さんの携わるサイトの総ページ数は多い方でしょうか?少ない方でしょうか?
サイト管理者にとって悩ましい問題
サイトの総ページ数は、提供する情報が増えるにしたがって増加するものです。自治体サイトのページ数が多くなったのも、利用者にとって便利な情報を提供してきた積重ねの結果であり、大変意義のあることだと思います。
その一方でサイト管理する担当者の方にとっては、ページ数の増加は悩ましい問題にもなっています。掲載内容を隅々まで把握したり、ルールに基づいたページ作りを徹底したりすることが難しくなっています。
サイトの総ページ数があまりに多い状況は、サイトを閲覧する利用者にも、影響が出ています。閲覧した情報が何時発表されたかも分からないような古い内容だったり、サイト内でリンク切れがあったり、アクセシビリティに配慮の無いページに遭遇したりという問題の一因になっています。
アクセシビリティ対応との関係
「2006全国自治体サイトアクセシビリティ実態調査」の結果、サイト全体のアクセシビリティ対応が最も良い状態であるAレベルに該当したのは、4自治体のサイトでしたが、何れも総ページ数は2万ページ以下でした。これは単なる偶然ではないようです。
この2万ページを一つの指標値として、各レベルで2万ページを超えるサイトが占める割合を確認してみると、Aレベルは0%、Bレベルで29%、Cレベルで38%、Dレベルで39%、Eレベルで43%となりました。アクセシビリティの評価結果とサイトの規模の間に相関関係が見られます。我々がいろいろなサイトをご支援する中での経験知から、ある程度予想はしていましたが、これだけはっきりとデータに現れたことは大きな驚きでした。
ところで、調査結果の大多数を占めるDレベル、Eレベルのサイトには、調査前にリニューアルやCMS導入を実施しているサイトが多数含まれています。アクセシビリティの評価結果と、リニューアルやCMS導入実施の有無は、必ずしも一致しません。
適切な総ページ数を目指すには
ページ数は減らせばよいというものではなく、その自治体がサイトで提供すべき情報やサービスに応じた適切なボリュームを模索する必要があります。いろいろな自治体の担当者の方とお話をする限り、現在の総ページ数が適切だと感じていらっしゃる方はほとんどいらっしゃいません。既に、ページ数の削減に取組みを始めている自治体もあります。
適切な総ページ数を目指すために、まず、現在の状況をきちんと把握することをお勧めしています。「古くから更新されていないファイルがどの程度あるのか」「担当の部署によって、ページ数に大きな開きがないか」「掲載されている情報で既に不要なものがどの程度ありそうか」 このような事を把握することが、総ページ数の目標値を設定したり、削減のルールや手順を考える第一歩となります。
次回は、自治体サイト内で生じているリンク切れをテーマにコラムを掲載します。調査の結果、我々の想像をはるかに超える実態が明らかになりました。
- ウェブサイト解析プログラムCRONOS2
- 「2006年自治体サイト全ページアクセシビリティ実態調査」に使用したCRONOS2は、サイト内の全ページを解析し、アクセシビリティをはじめとするサイト内の様々な問題を統計的に明らかにします。
- 利用者に公開されている総ページ数を把握することが出来ます。
- 古いファイルの数や掲載箇所を把握し、ページ数削減の基礎資料とすることが出来ます。
- アクセシビリティをはじめとする様々な問題について、問題の多いページを特定することが出来ます。
- 2006年自治体サイト全ページアクセシビリティ実態調査
- アライド・ブレインズでは、平成18年8月から10月にかけ全国約180自治体のホームページを対象に実施。調査概要と結果の詳細は、ウェブアクセシビリティ実用サイト「A.A.O.」で紹介している。