視覚障害者の安心・安全を支えるIT
No.1 視覚障害者が食品情報を確実に入手するには?
[ 2008年5月2日 ]
執筆担当
伊敷 政英
(いしき まさひで)
昨年からたびたび世間をにぎわせている食品表示の偽装問題。賞味期限、原材料、原産地など、食品に関するいろいろな情報が偽装されました。しかし、不謹慎かもしれませんが、私にはこの問題についてはあまりぴんとこないのです。なぜかというと、そもそも私は普段から賞味期限や原産地などの情報がわからないまま買い物をしているからです。
そこで今回は、視覚障害者が食品情報を入手する方法について考えてみたいと思います。
なんだかよくわからないまま買い物をしている
上にも書きましたが、私は普段から賞味期限や原産地などの情報がわからないまま買い物をしています。それどころか商品の名前や値段さえもわからないまま買っている場合もたくさんあります。コンビニに行って、中身がなんだかよくわからないままお弁当を買い、食べてみたら嫌いなものが入っていた、またレジに持っていってとんでもない値段を言われてびっくりしたという経験は日常茶飯事です。私の友人たちの間では「闇買い」と言って笑い話にしています。
店員さんの手が空いていればいろいろ聞きながら買うものを決められるのですが…。大手のデパートではコンシェルジュやアテンドとよばれる係員がサポートしてくれることもありますが、近所のスーパーではそれも難しいですね。
ITをうまく使えば便利になるかも
店員さんに毎回買い物のサポートをお願いするのは、現実的に考えて難しいと思います。気持ち的にも少しプレッシャーですよね。「何か買わなきゃ」と思ってしまいそうです。そこで、視覚障害者が確実に食品表示の情報を入手するための方法を考えてみました。
まずは買い物のとき。食品を選ぶ際に賞味期限や原産地、原材料などの情報を事前に確認できるようにするために、QRコードが利用できると思います。
QRコードにこれらの食品情報をあらかじめ入れておいて、携帯で見られるようになるとたすかると思います。特にアレルギーなどのために食べられないものがある人や、視覚障害を持つお父さんお母さんにとっては、原材料を事前に確認できることは大変重要なことです。
食品情報が必要になるのは買い物のときだけではありません。賞味期限がせまっている食品はどれなのか、いつでも把握できないと困りますよね。
私は普段「卵はだいたい1~2週間、牛乳は1週間。もやしは足が速いのでなるべく早く食べる。」というようにだいたいの感覚でやっていますが、時々いつ買ったかわからないものが冷蔵庫の奥から発掘されて困ることがあります。
そこで冷蔵庫。QRコードあるいはICチップにあらかじめ入れておいた食品情報を読み取って、賞味期限が近くなると音声で教えてくれる機能があったらいいと思います。
私も含めて多くの視覚障害者は食品についての情報を知らないままいろいろなものを食べています。その上混雑している店内では、誰かに情報を教えてもらうことも難しいため、視覚障害者が単独で情報を入手できる仕組みが必要になるのです。
ITを上手に活用することで、視覚障害者の安全な食生活を支えられるようになると期待しています。