第1回 ウェブアクセシビリティJIS規格改正への対応
~積極的な情報収集と、早めの対応策の検討を~
[ 2009年12月22日 ]
執筆担当
大久保 翌
(おおくぼ あきら)
回答自治体の約7割が「現行JIS規格の内容を知っている」と回答
ウェブアクセシビリティのJIS規格「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス- 第3部:ウェブコンテンツ(JIS X 8341-3)」(以降、JIS規格と記載)は、2004年6月20日に制定されて以降、多くの自治体においてウェブサイトのアクセシビリティ対応を行なうための拠り所とされてきました。
「第1回 公共機関ウェブサイトの運営に関するアンケート結果(以降、アンケート結果と記載)」によると、回答自治体の約7割(70.9%)が「JIS規格の内容を知っている」と答えています。
JIS規格の改正が間近!公共機関ウェブサイトへの影響とは?
近々このJIS規格の改正が行われます。公共機関のウェブサイト管理者が注目すべき変更が数多く含まれますので、そのいくつかをご紹介しましょう。
まず、達成等級と呼ばれる対応レベルが設定されるという変化があります。現行のJIS規格では、ウェブサイトの制作に関し対応すべき項目が必須の項目と推奨の項目を合わせて39定められていますが、レベル分けという考え方はありませんでした。改正後のJIS規格ではA、AA、AAAの3つの達成等級が用意され、各団体は自らが目標とする等級を選定し、ウェブサイトで公開することが求められるようになります。
このほか、現行のJIS規格に比べて、制作の際に行うべき対応が具体的に示されることになります。たとえば、色のコントラストに関する比率や表現の変化の速度について、現行のJIS規格ではあいまいな表現で配慮が求められていましたが、改正後のJIS規格では具体的な数値で対応が求められる見込みです。特に、今後ウェブサイトのリニューアルを行う団体ではこのような個別具体的な基準の変化や追加にも注目する必要があります。
リニューアルを予定している団体からの相談が急増中
アンケート結果によると、「JIS規格が改正することを知っている、聞いた事がある」と答えた自治体は約5割(53.2%)。「改正内容まで知っている」という自治体は13.4%でした。
秋頃より、弊社にJIS規格改正に備えた対応に関する問い合わせが急増しています。特に多いのは、今年度あるいは来年度にリニューアルを予定している団体からの「改正後のJIS規格の内容を取り入れた基準でリニューアルを実施したい」というご相談です。A.A.O.セミナーなどを通じて、できるだけ多くの皆さんに改正のポイントと求められる対応について情報をご提供していきたいと考えています。
なお、今年度中の改正を目指し検討が進められてきたJIS規格ですが、最後の段階に入って時間を要しています。正式に発表されるのは、現時点で2010年度の上四半期となる見込みです。