災害時の情報受発信
第3回:自然災害に耐えうる社会を作るために
[ 2012年6月8日 ]
被災状況や被災者のニーズを正確に把握するための連携
自然災害が起こってしばらくすると、被災状況や被災者のニーズを把握して支援を行う段階へと移ります。このときに必要となるのがNPOやボランティア団体との連携です。特に障害者や高齢者への支援や子育て支援を行っているNPOやボランティア団体は、特殊なニーズや支援方法について知識を持っていますし、日ごろの活動によって住民との関係もある程度構築されています。そのためニーズを正確に把握でき、適切な支援をスムーズに行うことができるのです。震災後、視覚障害者支援を行っているNPOが避難所を歩き回って被災した視覚障害者を探し必要なものを聞いて回ったこと、また手話つきの震災ニュースがボランティアの手によってニコニコ動画から配信されたことなどから、支援団体の適切な対応と行動の速さがうかがえます。
こういったNPOやボランティア団体との連携において問題となるのが個人情報の保護ですが、この点については日ごろからの連携や共働によって信頼関係を構築し、さらに災害時の連携方法や情報共有の在り方について確認しておくことで解決できるのではないかと私は考えています。
また、自治体と支援団体との連携だけでなく、障害者と支援者・近隣住民のあいだで災害が起きた時の支援方法や避難場所、必要なものなどについて情報共有しておくことも欠かせません。これには障害当事者が積極的に情報発信し、支援者と密にコミュニケーションをとっておく必要があります。私は普段から近所のスーパーや飲食店を利用するときに、自分の障害の状態や助けてほしいこと、誘導の仕方などを話すようにしています。これも災害時だけでなく、日ごろからのご近所づきあいが欠かせませんね。
最後に
これまで3回にわたって、災害時の情報受発信についてお話してきました。災害時の情報発信におけるアクセシビリティの問題、またNPOやボランティアとの連携、障害者と支援者・近隣住民との連携、これらに共通することは、「普段から積極的に議論し、内容や手順を確認しておくことが最も大切である」ということです。また作成した手順や支援方法を実際に試してブラッシュアップしていくために「災害時における情報発信訓練」や「障害者・高齢者を対象にした避難訓練」を行うのも有効です。
日本は地震大国です。また台風や雪による災害も考えられます。こうした自然災害に耐えられるような社会を作るために、今一度皆で考えてみませんか。