公共機関ウェブサイトが抱える大問題~自治体リニューアルの81.5%が品質向上を実現していない~
[ 2018年8月28日 ]
執筆担当
目次 徹也
(めつぎ てつや)
1.リニューアル実施サイトの品質の状況
アライド・ブレインズが2006年から実施している「A.A.O.ウェブサイトクオリティ実態調査」の2018年の結果を分析したところ、調査対象とした47都道府県、全市、東京23区の合計861団体の内、リニューアル実施済みウェブサイトの81.5%が、リニューアル効果を得ていない、つまり品質向上を実現していないという結果が確認されます。
本調査は、自治体公式ホームページ(以下、公式HP)の全ファイルを解析し、アクセシビリティ・ユーザビリティ両方の観点で評価しています。2006年の調査開始以来、品質向上が進んでいる公式HPは少しずつ増えていますが、未だ8割以上がリニューアル効果を得られていない現実があります。では、どうして8割以上もの公式HPがリニューアルを実施したにもかかわらず品質向上が進まないのでしょうか。
2.公式HPリニューアルで品質向上が実現できない理由
公式HPのリニューアルは、システム開発で必須の設計フェーズを正しく行っていないことが最大の問題です。遅くともリニューアルを実施するおよそ1年前に公式HPの設計見直しを実施します。情報分類・サイト構造設計が中心になります。また、CMSの入替を検討する場合、CMSの機能調査が必要となります。さらにリニューアルでは、コンテンツの移行作業を行いますが、その実施方法について検討する必要があります。その上でリニューアルの要求仕様をまとめていきます。
上記の作業を実施する為に、最初に公式HPの詳細な問題点・課題の確認が必須です。その結果を基に設計見直しの方針を含むリニューアルの方針を立てていきます。併せて、リニューアル公開までの全体計画を作成します。リニューアル失敗原因の一つとしてリニューアル公開時期の設定に問題があることにも注意が必要です。
3.リニューアルは、いつから準備を始める必要があるか
公式HPは、1,000ページ以上のコンテンツを公開している大規模サイトです。ページ数が多ければ多いほどリニューアルの事前準備段階の作業は多くなります。特に情報分類・サイト構造設計に要する期間は、情報分類・サイト構造設計に関連した問題がある場合、ある程度まとまった時間を必要とします。アライド・ブレインズは、リニューアル公開日のおよそ3年前に全体計画を立てることを奨めています。
4.リニューアル事前準備(情報収集、計画検討)は、3年以上前から開始する
アライド・ブレインズのセミナーに参加された多くの方が、参加された年或いは翌年にリニューアルを予定され、セミナーで説明する事前準備作業の重要性やリニューアル事前準備からリニューアル公開までの最適なスケジュール策定の考え方を知り、もう少し早く知りたかったと話されています。
本コラムの記載内容について詳細にお知りになりたい方は、出来る限りリニューアル公開予定の3年以上前にセミナーに参加し、できるだけ早い機会に全体計画を検討して下さい。
以上