連載「JIS X 8341-3改正動向と公共機関HPに必要な対応」
第5回「総務省が是正を求める、誤ったアクセシビリティ対応」
[ 2024年8月7日 ]
執筆担当
大谷 昌也
(おおたに まさや)
本連載は、ウェブアクセシビリティのJIS改正、総務省みんなの公共サイト運用ガイドライン(2024年版)などの最新動向、公共機関ホームページに求められる対応を、総務省推進事業事務局を毎年担当しているアライド・ブレインズのコンサルタントが解説します。
総務省が5月に新たなガイドラインを公表
2024年5月8日、「みんなの公共サイト運用ガイドライン(2024年版)」(以下、総務省ガイドラインと記載)が公表されました。
総務省ガイドラインには、公共機関に求める取組が示されているとともに、過去の調査結果を踏まえ、「適切でない取組の例」が具体的に列挙され、是正するよう求められています。
問題が多数あるホームページに、JIS試験結果「AA準拠」と公表
JISの適合レベルA及びAAに多数の問題のあるホームページが「問題がない(「AA準拠」している)」と公表している事例が多数あることが、総務省の調査に基づき報告されています。JIS試験結果として「AA準拠」と公表している団体の約3割の試験が不適切な可能性があるという内容です。
(参照:総務省「令和5年度公的機関のウェブアクセシビリティ対応の促進に関する調査報告書」)
障害者差別解消法、総務省ガイドラインの趣旨に則らない極めて不誠実な状態と言えます。
適切でない取組の具体例
このほか、総務省ガイドラインp.39にて紹介されている適切でない取組について、主な論点を以下に紹介します。
皆様の対応に当てはまっていることがないでしょうか。
- 全ページを対象に改善に取り組んでいない
- JIS試験の対象ページだけを改善して、AA準拠と公表している
- JIS試験を第三者に依頼していない(構築・運用の担当事業者に依頼している)
- JIS試験を年度末に実施し、改善に取り組んでない
- 「ウェブアクセシビリティ方針」を更新していない
- 「ウェブアクセシビリティ取組確認・評価表」の確認結果を公表していない
- 音声読み上げなどの支援機能を提供して、対応したことにしている
- 取組の必要性について、組織の中で引き継いでいない
速やかに見直すことが求められている
総務省ガイドラインは、近い将来のJIS改正に対応するために、まず、総務省ガイドラインに基づく取組を適切に実行し、JIS X 8341-3:2016に確実に対応することが不可欠であるとしています。そして、適切でない点がある場合は、速やかに対応を見直すことを求めています。
この機会に、必ず最新の総務省ガイドラインを確認してください。
また、適切でない取組、急ぎ求められる対応について、次回以降のコラム、セミナーで詳しく解説を予定していますのでご活用ください。
解説セミナー
- A.A.O.特別セミナー「実践解説:総務省ガイドラインの求めるJIS改正への対応」
対応支援サービス
次回以降のコラム
総務省ガイドライン(2024年版)が求める取組について、より詳細に解説予定です。
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