アライドの考えるATとは
先端技術の活用・応用としてのAT
障害者のIT利用を助ける支援技術は、それ自体が最先端情報技術の重要な応用分野であると言えます。例えば、パソコンの画面読み上げソフトは人工音声合成技術や文脈理解の技術が柱となっていますし、本サイトで提供しているPete、弾話は逐次予測入力という最新の入力インタフェースの考え方を採用しています。米国では「視線入力装置」に代表されるように、最先端軍事技術を応用することで、高度なATを開発しています。
我々は、ATこそ、これまでにない優れた情報技術、ヒューマン・インタフェース技術の研究開発につながる技術フロンティアのひとつだと考えます。
スケーラブルな体系・構造を持つシステマティックなAT
これまでのATの問題点のひとつに、実に様々なAT製品が提供されていながら、それらの互換性が乏しく、複数のATを連携させることが難しい点が挙げられます。例えば、肢体不自由者がパソコン操作や入力に利用するソフトキーボード製品にはそれぞれ専用の入力スイッチシステムが用意されており、まったく互換性がないといった状況がありました。
これは、障害者ユーザーの多様な身体特性に対応する必要上、やむを得ない面もありましたが、パソコンにも高度な汎用インタフェースが装備されるようになった今、ATにはより体系的でオープン・システム的な発想にもとづく設計が必要になっています。多くのATは、ソフトウェアとハードウェアの高度な連携を必要としますが、それらをできるだけ標準的なインタフェース上で実現し、また、それぞれのインタフェース情報を公開して、AT相互の連携が容易に実現できるようにすることが重要です。
我々が開発したATソフトウェア、特に「弾話」はこうした考え方に基づいて内部構造を設計しています。
ボランタリー・パワーで発展させるオープンなAT
日本で障害者のパソコン利用に重要な役割を果たしてきたのが「パソコンボランティア」と呼ばれる草の根の支援者グループです。パソコンボランティアは、まさに手作りのATで障害者それぞれのニーズに応えてきましたが、それらは一品生産の手作りゆえ互換性や拡張性に乏しく、技術として発展しにくいという問題を抱えています。
我々は、技術力を持ったパソコンボランティアに自由に改良して活用していただけるよう、開発したATソフトウェアのソースを公開し、オープンソースとして提供しています。パソコンボランティアの活動にできるだけ共通の基盤ツールとなるものを提供することが重要だと考えるからです。そして、第一線のコンピュータ技術者、ソフトウェア技術者により多く障害者支援の分野に目を向けていただき、パソコンボランティアとして活動していただく呼び水になればと考えています。