第8回「情報分類の根本的な見直しと入念な事前準備による業者選定」~糸島市ホームページのリニューアルとCMS入れ替え~(前編)
[ 2017年4月14日 ]
ゲスト
糸島市企画部秘書広報課広報係 主査
田中伸治さん
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福岡県糸島市では、平成28年12月に公式ホームページを全面リニューアルしました。CMSの入れ替え導入を含むプロジェクト全体の取組内容について、企画部秘書広報課の田中 伸治さんにお話を伺いました。
1.システムの問題、情報の探しづらさなど課題山積
アライド:今回リニューアルを実施されることになった経緯を教えてください。
リニューアル前の糸島市トップページ
田中:糸島市は、平成22年1月に1市2町が合併して誕生しました。合併に伴いホームページを新設する必要があり、プロポーザルによる選考で公共機関ホームページに多くの導入実績がある業者にホームページ構築業務(CMS導入)を委託しました。
私が現在の部署に異動してくる前から、ホームページに関する課題や不満が出ていたようで、平成27年に私が異動した頃には、問題や課題が山積していた状況でした。平成25年度の第2回市民モニターアンケートでは、「知りたい情報へたどり着かない、探しきれない、分かりにくい」と言った声が多数寄せられていました。また、情報を発信する市側の職員も、例えば、「システムの画面遷移が30秒以上かかる」といった問題、コンテンツページを作成する際に、「使いにくい、分かりにくい」といった問題が出ていました。システムの問題、サーバの脆弱性や容量などの問題があり、アクセス集中時の繋がりにくさや、お問い合わせページが機能しないなどの弊害も発生していました。
このような状況の中、ホームページ構築業者は年間保守契約を交わしているにも係わらず、唯一の担当者は他の仕事に追われ、連絡や相談にもなかなか対応してもらえず放置されるような状況が続いていました。
アライド:ホームページに関する問題は、いつ頃から発生していたのですか。
田中:ホームページ公開開始当初から、問題は出ていたと聞いています。プレゼンテーションの際に説明を受けていた機能が実際には使えないといったことがあったようです。それでも、こうした状況を甘んじて受け入れている現状がありました。理由として第一に、「自治体職員がホームページに関する知識に乏しく、専門業者の言うなりになりやすい」ということがあると思います。当時契約していたところは、福岡県を始め自治体に数多くの実績をもっていました。問い合わせをした際にシステムエンジニアから「全国の自治体が同じように使っている、これはそういうものだ」と説明されてしまうと、職員が反論することは難しかったと思います。
二つ目に、ホームページのリニューアルには、やはり相当額の費用が掛かるということです。当然、その費用は血税から支払われるわけですから、「多少の不便は職員が我慢する」「今の仕組みの中で最大限努力する」という気持ちがあります。市民にとって、ホームページは目的別に探す仕組みが必要だと思いますが、構築した際は目的別になっておらず、少しずつ職員が手作りして目的別に見えるように対応していました。しかし、それも限界に来ていました。
2.セミナー参加をきっかけにリニューアル・CMS入れ替えの必要性を再確認
アライド:今回リニューアルを決断されたきっかけを教えてください。
田中 伸治さん
田中:こうした現状を打破したきっかけが、アライドさんの研修でした。平成26年に開催された参加費無料のホームページ研修で、現状を憂いていた当時の担当者が藁にもすがる思いで参加したそうです。そして、そこで大変なカルチャーショックを受けたといいます。
「機械判読性」「アクセシビリティ対応」「浮遊ファイル」・・・当時の保守運用業者からは聞いたこともない、見るも聞くも初めてのことばかり。「自治体を取り巻くホームページ情勢の急速な変化」を知らずにいること。そして、自分たちの気付かないところで、実は「市民にも影響を与えかねない課題を抱えている現状」を知りました。この後すぐにリニューアルとはいきませんでしたが、当市が徐々にその方向へ舵取りを始めたのは、このときからでした。
その翌年、私が現在の部署に異動し、上司とともにアライドさんの研修を受け、係内全員の認識を一致させることができました。それ以降、アライドさんに相談しながら、リニューアルの準備を進めていきました。