第10回「考えていたリニューアルの計画をゼロベースで見直しました」~長寿科学振興財団ウェブサイトのAA準拠を目指したリニューアル~(後編)
[ 2018年1月10日 ]
ゲスト
公益財団法人 長寿科学振興財団
事業推進課長 金子智隆さん
事業推進課 事業推進担当 山口貴利さん
7.業者選定で心がけたこと、重要だったこと
アライド:事前準備での様々な取組を経て具体化した内容を適切に実現できる業者を選定することが、次の大きなテーマとなりました。
山口:選定にあたっては、提案書が仕様を満たしているかということを、担当者として大前提として考えて、提案書の内容や機能要件の充足について資料をしっかり見るように心がけました。それに加えて、実際の選定にあたっては、提案書の記載内容だけでなく、プレゼンテーションやその前後のやり取りを含めて、業者の方の発言の内容や気持ちの部分が非常に重要だと感じました。資料の体裁がきれいだったり、提案の構成や説明が上手だったりする業者もあって、そういうところに気持ちが行きそうにもなったのですが、本当に重要な事は別のところにありました。
アライド:そのあたりの取組で重要だと思われたのはどのようなことでしたか。
山口:アライド・ブレインズから助言があった内容ですが、財団が用意した仕様書をきちんと読み込んだうえで様々な発言をしてくれているか、そのことが説明から受け止められるかどうかは重要なポイントでした。また、対象のウェブサイトにどのような問題があってどのような手順で改善するのかについて、具体的な説明をしてくれた業者を評価しました。他の団体でも同じ内容を同じようにきれいに話しているのだろうなという提案は評価を下げて、財団と対象ウェブサイトのことを具体的に考えてくれる業者かどうかを評価するように心がけました。
アライド:選定候補としたい良い業者に提案に参加してもらえず、苦労されている事例が多々あります。今回の選定はいかがでしたか。
山口:複数の業者に参加いただけたのは大変ありがたいことでした。担当者として後から振り返ると、仕様書をきちんと力を入れて準備したことが、その結果に結びついたのではないかと想像しています。
8.資料が期間内に出てこない、指示したレベルに達しない
アライド:業者を選定し、リニューアルのプロジェクトが始まりました。プロジェクトの進行過程で、苦労されたこと、気をつけられたことはどのようなことでしたか。
山口:プロジェクトの進行で最も気にかけたのは、当初定めたスケジュール通りに進行してもらえるかということでした。プロジェクトを開始してすぐに、仕様書等で示している内容について、財団と業者の認識の違いが明らかになり、財団の要求事項について業者に的確に理解してもらうまでに時間を要しました。また、依頼した資料が期間内に出てこなかったり、指示した内容について全くそのレベルに達していない資料が出てきたりということが積み重なりました。それらについて修正を依頼し作業を行ってもらうことでスケジュールが遅延し、マスタースケジュールで設定した当初スケジュールと大きな乖離が生じました。
9.突然のリニューアル延期申し出に会議が紛糾
アライド:プロジェクトが軌道に乗ったと感じられたのはいつ頃ですか?
山口:意思疎通がある程度できるようになったのは、プロジェクトを開始して3ヶ月以上たってからではないかと思います。それ以降も緊張感のあるやり取りが続きました。
金子:担当者から上がってくる情報を確認する中で、私の中ではリニューアルの瞬間まで、本当に予定通りの期日でリニューアル公開ができるのだろうかと、緊張感が続きました。
例えば、作業に必要なスケジュール感が我々にはイメージができません。簡単にできるものだとイメージしていたことが難しかったり、難しいと思うものが簡単なことだったり、ということがありました。そのあたりの不安について、プロジェクトの進行過程でアライド・ブレインズによく相談したことを覚えています。
アライド:プロジェクトの過程で、業者から突然「リニューアル公開日をずらしたい」という申し出がありましたね。
山口:会議の中で、突然「リニューアル公開日をずらしたい」という発言があり、紛糾したことがありました。プロジェクトの開始以前から「そういうことが起きますよ」とアライド・ブレインズから聞いていたので、「ついにその時が来たか」と感じました。そのような事態が起きてしまっても適切に対応できるようにリニューアル公開日を秋口に設定していましたので、業者からの申し出を良しとするか却下するかは我々の判断次第だったわけですが、当初予定を厳守するべきであると判断し、対応を求め続けました。
アライド:プロジェクトの開始当初は、業者側の体制として、その場で判断できる立場の方に会議に出席いただけず、進行が滞った時期がありました。
山口:アライド・ブレインズから、業者側のキーパーソンに会議に参加いただけるかどうかが、プロジェクトの成否に関わるとの助言を得ていました。財団としても繰り返し協力を求め、定例の会議に出席いただくことになりました。
アライド:事前準備の段階から「こういう業者さんに参加いただきたいな」と想定をし、その条件を満たすと考えられる業者を提案コンペで選定し、プロジェクトを開始して以降も財団として要所を締め・・・と、振り返ってみると緊張感がずっと続いていたのですね。スケジュール通りに仕様を満たす形でリニューアル公開を実現したというのは大変なことだったと思います。
金子:要所を締めたと言えるかどうか分かりませんが、ずっと緊張が続いていました。担当した業者も大変だったと思います。