岡山県、全庁をあげたウェブアクセシビリティ研修を実施
2005年9月末から10月上旬にかけて、岡山県は県内全課・事務所のホームページ担当職員を対象とするウェブアクセシビリティ研修を行いました。岡山県のホームページは、「1課室1ホームページ」として、それぞれの課・事務所で作成・更新を行っています。ウェブアクセシビリティに対する職員の皆さんの関心は非常に高く、約80%の課・事務所から約150名の方が参加されました。
9月の「ウェブアクセシビリティ概論研修」、10月の「ホームページ作成研修」の講師を担当させていただいた、アライド・ブレインズ大久保、米田のレポートをご紹介します。
ウェブアクセシビリティ概論研修(講演)
概論研修概要
- 日時:2005年9月30日(金曜日)
- 第1回目:9時半から12時
- 第2回目:13時から15時半
- 場所:岡山県立図書館 多目的ホール
- 参加者:岡山県職員(第1回目約70名、第2回目約80名、合計約150名)
- プログラム:
- ウェブアクセシビリティの目的と考え方
- アクセシビリティ確保のポイント
- 行政に求められている対応
研修後記 講師:アライド・ブレインズ 大久保 翌(おおくぼあきら)
今回の研修では、まず9月30日に初級編のコースが実施されました。ウェブアクセシビリティの考え方や必要性について2時間半学ぶ研修を午前・午後の2回実施し、あわせて約150名の職員の皆さんが受講されました。参加された皆さんはウェブアクセシビリティについて初めて学ばれる方が大多数だったと思いますが、障害のある方のウェブ利用のビデオや、ホームページの問題点などのデモンストレーション等を通じて、基本的な考え方をご理解いただけたのではないかと思います。出来る限り受講された皆さんのハートに訴えかけるよう、お話をさせていただきました。
制作を分担している組織のホームページでウェブアクセシビリティの配慮がなされるかどうかは、個々の担当者の皆さんが基本的な考え方に共感を持てるか否かによって大きく左右されます。ガイドラインを整備しても、CMS(コンテンツ管理システム)を導入しても、担当者レベルで基本理解の共有を図らないと成果につながりません。その意味で、今回全庁を挙げて150名という大々的な研修を行なわれたことは、的を射た大変有意義なことだと思います。
岡山県は、2001年に総務省ウェブアクセシビリティ実証実験の協力自治体として取組みに参加されました。私は岡山県の取組みのサポートを事務局として担当していましたが、その際は情報政策課の皆さんをはじめ、岡山県立盲学校の先生方、吉備高原都市の住民の皆さんに大変お世話になりました。今回の研修を基礎に、岡山県での取組みがより一層前進していくことを期待しています。
ホームページ作成研修(講演及び実習)
作成研修概要
- 日時:いずれも10時から16時まで
- 第1回目:10月3日(月曜日)
- 第2回目:10月4日(火曜日)
- 第3回目:10月11日(火曜日)
- 第4回目:10月12日(水曜日)
- 場所:岡山県情報教育センター 第1研修室
- 参加者:岡山県職員(各回とも、約40名前後、合計約150名参加)
- プログラム:
- JIS規格の構成とねらい(講演)
- ホームページ・ビルダーを使ったアクセシブルなページ制作のポイント(実習)
研修後記 講師:アライド・ブレインズ 米田 佳代(よねだかよ)
9月30日の概論研修を受講していただいた皆さんに、引き続き、10月3日から4グループに分かれて、丸1日コースのホームページ作成研修を受講していただきました。参加された皆さんは、日頃から県内各課・事務所のホームページを作成・更新されている方が中心とのこと。今回の研修では、2人で1台のパソコンを操作しながら、アクセシブルなホームページ作りのポイントを学習しました。
まず午前中に、JIS規格の解説と、原稿作成時に注意すべき点についての解説・実習を行いました。自治体では、決裁のとれた文章や、広報紙やパンフレットなどの印刷物をホームページに掲載する例が多いようです。その場合でも、原稿をそっくりそのままホームページ上で再現するのではなく、利用者の立場になって、どんな配慮・工夫をすればよいかを一緒に考えていきました。
午後はホームページ・ビルダーVer.9を実際に操作しながら、画像の種類や文脈に応じた適切な代替テキストの付け方、リンク箇所の設定方法等について学習しました。研修の最後にはアクセシビリティの点検方法を勉強しました。ホームページ・ビルダーの点検機能や、ツールを使わずにできる点検方法を用いて各自で課題ページを点検し、問題点を順番に発表していただきました。
さて、研修が終わって数日後、岡山県ホームページの中で、早速今回身につけた点検・修正方法を実践されている例を見つけました。今回の研修では、アクセシブルなページ制作のポイントのうち、すぐに実践に移せるものを中心に解説させていただきました。岡山県の皆様には、是非今後も継続して、アクセシビリティの取り組みを進めていただきたいと思っております。