技術のベストブレン
- DESIGN IT! Conference 2006 Spring レポート -
[ 2006年4月28日 ]
CMS導入プロジェクトを成功に導くには
もう1つ、筆者が興味深く聴かせていただいたのがパネルディスカッションです。CMSの導入やCMSを用いたシステム開発を支援している民間企業の方々4名と、海外からのゲストスピーカー2名を迎えて行われました。
まずコーディネーターから、「CMS導入プロジェクトを成功させるにはどうしたらいいでしょうか?」という質問が投げかけられました。この質問に対してパネリストからは、
- 「シンプルに開始することが大事ですね」
- 「リーダーのリーダーシップとモチベーションが大事だと思います。また、ウェブサイトは担当者や一部の部署だけが更新・運営をおこなうものではないので、全社的な取り組みとして実施することも大切ですね」
- 「少なくとも担当者同士の間で、同じくらいのレベルでシステムを理解している必要があると思います。そのため担当者の方には勉強していただくことも必要になりますし、私たちも積極的に情報提供しています」
- 「CMSに過度な期待を持って、あれもできる、これもやりたい、と夢を膨らませすぎないことが大事ですね」
などの意見が出されました。「全社的な取り組みとして実施する」、「あれもこれも1度にやろうとせずに、できることから1歩1歩シンプルに取り組む」など、アクセシビリティへの取り組みの場合と似ているところがあるな、と思いました。
次に、「CMSの導入を考えている企業の方に伝えたいことは?」という質問が出されました。この質問に対しては、
- 「CMS導入の前に業務分析をしてみると、導入後のウェブサイト運営においてコンテンツを作る人がたくさんいるので、統括する人がいると嬉しいですね。」
- 「担当の方はゴールイメージを持つことが大事ですね。また、CMSの導入が企業戦略とリンクしていること。さらにコンテンツに関わる人たちの間で知識を共有することも大切です」
- 「なるべく早く声をかけてほしいですね。また予算が固定されていると厳しいです。数年先の企業のあり方や事業内容なども見越して考えることが大切ですね。」
などの意見が出されました。パネリストの皆さんが共通しておっしゃっていたことは「自分たちにとってウェブとは何なのか? ウェブはどういう位置づけなのかについて議論し、目標を明確にすること。またその目標について、組織全体でコンセンサスを得ることがとても重要である」ということでした。
これからますます増えるCMS
CMSを導入すると、「日々の更新作業が軽減される」、「HTMLやCSSなどの知識がなくてもサイトの更新ができる」、「サイト全体で統一したデザインを維持することができる」など、さまざまなメリットがあります。そのためCMSは今後、ますます普及していくと思います。
今回のDESIGN IT! は、「CMSを導入しつつ、アクセシビリティを維持・向上するにはどうしたらよいか」というテーマについて考えるよい機会になりました。筆者としては、CMSを用いて作ったウェブサイトがアクセシブルになることはもちろんですが、CMSツールそのものがアクセシブルになり、障害を持つ人たちも情報を発信する側になれたらいいなと感じました。
あー、勉強しなきゃいけないことがどんどん増えていく…、でも、がんばるぞ!
すべてのプログラムが終わって外へ出ると、カフェの方からコーヒーの少し焦げたような香りがしてきました。「あれ?、保温したままおいておいたのかな?」