スマートフォン・タブレットの可能性 iPadは弱視者の生活を変えられるか?
第1回:弱視者の日常生活とIT
[ 2012年2月28日 ]
弱視者の代表的な見え方
弱視者の見え方についてですが、これは個人差がとても激しく、「弱視の人はこんな風に見えている」というのを一概にはなかなか言えません。一人の弱視者を見ても、屋外なのか、屋内なのか、その日の天気、部屋の明るさや照明の位置、その人の目の調子などによって、見え方は変化します。
このような中、代表的な見え方として、以下の3つがあげられます。
1.像がぼやける
視界が全体的にぼやけている状態です。私もこの見え方です。私の場合、視界全体が白っぽくぼやけていて、物と物の境界線がはっきりしません。また乱視もあるので、物が2重3重に見えています。
2.まぶしい・暗い
人間の目は、明るい場所では目に入る光の量を抑え、逆に暗い場所ではたくさんの光を取り込めるようにするための機能を持っています。「明順応」「暗順応」といいます。弱視の人の中には、この順応がうまく機能しない人がいます。そのためまぶしい、あるいは暗くてものがよく見えない、という状態になります。
私自身、この順応がほとんど機能していません。晴れた日の屋外や、明るいところから暗い所へ急に移動したりすると、ほとんど何も見えなくなります。
3.視野が狭い・視野の一部が欠けている
視野とは、ものが見える範囲のことです。視野が狭くなると、5円玉やストローの穴からのぞくような範囲でしか物を見ることができなくなります。また、人によっては、視野の真ん中が見えない、あるいはまだらに見えない、という場合もあります。私自身は、視野はほぼ正常です。
パソコン・ウェブの利用の様子
私は普段から、仕事に趣味にパソコンやインターネットを使っています。パソコンに向かわない日はないくらいです。この文章もパソコンで書いています。
私の場合、画面拡大ソフトを使ってパソコン画面全体を拡大し、さらに色を反転して使っています。
画面拡大ソフトのZoomTextを使っている様子
以前はZoomTextという市販の画面拡大ソフトを使っていましたが、Windows7では、Windows自体に搭載されている「拡大鏡」というソフトが大幅に改良されたので、自宅のパソコンではこの「拡大鏡」を使っています。
また携帯電話は、NTTドコモのらくらくホンをずっと使っています。らくらくホンには、メニューやメールの文字を大きなフォントで表示する機能、色反転の機能、音声読み上げ機能などがあって大変使いやすいので、多くの視覚障害者が使っています。
私は普段、文章を書いたりじっくりものを考えるときにパソコンを使い、mixiやTwitterを確認するのに携帯電話を使います。携帯電話は外出先でも手軽に使えて便利なのですが、画面が小さくて地図などの画像が見えないのが不便です。