連載「JIS X 8341-3改正動向と公共機関HPに必要な対応」
第8回「総務省JIS対応状況調査とは?」
[ 2025年2月17日 ]
執筆担当
大谷 昌也
(おおたに まさや)
2025年2月、総務省より2024年度のJIS対応状況調査の結果が送付されました。
対象となる地方公共団体(町村を除く)のご担当者様の中には初めて調査結果を見る方もいらっしゃるかと思います。本コラムでは、総務省が行うJIS対応状況調査について、過去の経緯を踏まえてご説明します。
調査経緯と対象団体
総務省は、2016年度に「みんなの公共サイト運用ガイドライン」を公表して以降、定期的に全国の公的機関の公式ホームページがウェブアクセシビリティに関するJIS規格(JIS X 8341-3:2016)にどの程度対応しているか調査しています。調査は、総務省の評価ツールであるmiCheckerの基準で、公式ホームページの全ページを対象に実施されています。
この調査は、アライド・ブレインズ株式会社が事務局を担当しております。
過去の調査対象は以下の通りです。
- 2017年度: 府省庁、都道府県、市、町村、特別区
- 2018年度: 独立行政法人、地方独立行政法人
- 2020年度: 都道府県、市、特別区
- 2021年度: 府省庁、町村、独立行政法人、地方独立行政法人
- 2022年度: 都道府県、市、特別区
- 2023年度: 府省庁、町村、独立行政法人、地方独立行政法人
- 2024年度: 都道府県、市、特別区
このように、2020年度以降、調査対象は隔年で変更され、2年ごとにおおむねすべての公的機関が調査されることとなっています。
総務省は各団体に定期的な調査結果の活用を推奨しているほか、各公的機関の経年変化を確認し、公的機関全体のウェブアクセシビリティ対応推進のための基礎データとして様々な分析を行っています。
過去の調査結果については以下のページを参照ください。
みんなの公共サイト運用ガイドライン(2024年版)-これまでの取組- (総務省ホームページ)
スマートフォン表示が評価対象
本連載コラムでご説明の通り、今後ウェブアクセシビリティのJIS規格が改正される見通しです。
改正では国際標準「Web Content Accessibility Guidelines2.2(WCAG2.2)」が採用され、スマートフォン端末を考慮した達成基準が多く追加されます。
(参考コラム) 第1回「ウェブアクセシビリティの新国際基準」
上記の流れを踏まえ、総務省は2024年度のJIS対応状況調査をホームページのスマートフォン向け表示を対象として実施しています。
これには総務省のmiCheckerが2024年4月にバージョン3.1となり、ブラウザ幅を指定して検証を行う機能が追加されたことも関係しています。
注意点
上記の通り、これまでの調査結果と比較する際には、調査の実施方法と調査基準が変更されたことを踏まえて内容を確認する必要があります。
miCheckerの更新履歴については以下のページを参考にして下さい。
みんなのアクセシビリティ評価ツール:miChecker (エムアイチェッカー)Ver.3.1(総務省ホームページ)
また、本調査はあくまでmiCheckerの基準で全ページを機械的に調査した結果です。JIS規格の基準には、目視による確認が必要な内容があります。ウェブアクセシビリティに取り組む際には、機械的な調査で明らかになっている問題を改善することに加えて、目視での検証を行うことを検討してください。
最後に
本コラムをお読みの皆様は、まずは総務省「JIS対応状況調査」の結果を確認いただき、ホームページ全体の現状を把握することから始めてみてください。
これから年度の変わり目がやってきます。担当を異動される場合は、後任の方に調査結果をぜひ引き継いでいただき、改善の取組が次年度以降も行えるよう備えていただけたらと思います。
アライド・ブレインズでは、調査結果の活用方法等を含め、総務省「みんなの公共サイト運用ガイドライン」に基づくアクセシビリティ対応について、本連載コラムや、下記セミナーで解説予定です。是非ご活用ください。
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