都市銀行ホームページの情報伝達度調査
2005年春頃から、大手の都市銀行や証券会社から、相次いで独自のアクセシビリティガイドラインに基づくウェブサイトのリニューアルを行なったとのニュースリリースが出されるなど、金融業界でもアクセシビリティ推進の機運が高まっているようだ。
2005年8月、アライド・ブレインズ株式会社では、金融機関でのアクセシビリティの対応が実際にどの程度なされているかを調べるために、5大都市銀行の公式ウェブサイトを対象にアクセシビリティ診断を行なった。
今回の調査では、様々な種類の障害を持つ利用者や高齢の利用者にも情報取得・操作ができるかという視点から、トップページ、新規口座開設資料申し込みフォーム、個人年金ページ、問い合わせ情報ページの4ページを対象に、アライド・ブレインズの提供ツールである「情報伝達度チェッカー」等を用い、独自の診断基準に基づく評価を行なった。
(2005年8月25日)
総評
まず、入口であるトップページをみると、5サイト中4サイトのトップページに、音声読み上げソフトの利用者には合併関連情報やキャンペーン情報の内容が伝わらない、上肢に障害がありマウスの操作が困難な利用者はメニューの中に入れない、小さい文字が読みづらい高齢者等が代表的なブラウザで文字サイズを変更できないなど、何らかのアクセシビリティ上の重大な問題があることがわかった。
また全体的な傾向として、新規口座開設資料申し込みフォームは入力内容のわかりやすさに対する配慮、個人年金のページでは高齢者にも文字が読みやすい配慮、問い合わせのページでは来店や電話によるコミュニケーション(通話)が難しいユーザへの配慮が十分ではなかった。
今回の結果から、まだ、銀行業界に広くウェブアクセシビリティ確保の必要性が認識されているわけではなく、ウェブアクセシビリティがお客様サービスの一環として位置付けられていないことがうかがえる。ウェブサイトは、来店や電話によるコミュニケーション(通話)が難しい利用者にとって、きわめて重要なサービス利用手段であり、是非アクセシビリティ配慮に力を入れて欲しいものである。
一方、アライド・ブレインズは、お客様サービスとしてのアクセシビリティは、ウェブに限ったことではなく、サービス全体で配慮する必要があると考えている。今回の調査実施に合わせて視覚障害を持つ人に銀行の利用について聞いたところ、例えばインターネットバンキングを利用できるようになってもパスワードは紙に印字されて郵送されてくるので、自力では利用しづらいなど、サービスを利用する上では様々なバリアがあるそうだ。
ウェブアクセシビリティ向上はもとより、他の顧客サービスにおいても、アクセシビリティ配慮が総合的になされるよう、強く望みたい。
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