都道府県ホームページ情報伝達度調査
診断結果の概要
トップページでは一定の配慮が見られるものの、十分ではない都道府県も
トップページについてアクセシビリティの基本項目に特に問題がなかったのは、島根県、香川県、宮崎県の3県であった。その他の都道府県も、ある程度のアクセシビリティ配慮が進んでいると言える。
全都道府県でサイト名が明確に分かる適切なページタイトルを既に用意しており、画像には代替テキストを入れる必要があることを認識していると見受けられる。しかし、その中身まで見ていくと、適切な代替テキストが入っているのは半数以下の22都道府県に留まる。その他の都道府県では、代替テキストにファイル名が入っており画像の内容が伝わらない例があった。また、デザインのために使用した画像に無意味な代替テキストが入っている例も見られた。
最も問題があるのは、リンクの張られた画像の代替テキストが入っていない例で、一部の都道府県に見受けられた。この場合、音声読み上げソフトの利用者にはリンク先のページの内容がわからず、必要な情報を探すのが困難となる恐れがある。
また、リンクテキストについては、更新の際のケアレスミスで1つのリンクが2つ以上に分割されている例などがあった。このことから、HTML文法のチェックや音声読み上げソフトによる確認が日常的に行われていないことが伺われる。
(表の中の各項目の数値は該当都道府県数)
評価 | ページタイトル | 画像の代替テキスト | リンク文章 | 表組みの指定 | 見出し要素の指定 |
---|---|---|---|---|---|
基本的なアクセシビリティ確保に問題なし | 47 | 22 | 27 | 0 | 6 |
アクセシビリティ配慮がなされているが改善が望ましい点がある | 0 | 16 | 5 | 0 | 9 |
明らかにアクセシビリティの問題がある | 0 | 9 | 15 | 2 | 32 |
対象の要素がないので判断外 | 0 | 0 | 0 | 45 | 0 |
防災情報ページには多くの都道府県でアクセシビリティに大きな問題
2県を除くほとんどの都道府県でトップページから防災情報ページへのリンクが張られていることから、市民にとって防災情報が重要であることを多くの自治体が認識していることがわかる。
しかし、防災情報ページについてアクセシビリティの基本項目に特に問題がなかったのは、宮城県、埼玉県、福井県、京都府の4府県にとどまった。全体的に、トップページに比べて様々なアクセシビリティ上の問題があり、中には音声読み上げソフトの利用者には情報が全く伝わらない致命的な問題があるサイトもあることがわかった。
防災情報ページでは、画像に代替テキストを入れる必要があるとの認識が徹底されていない。適切な代替テキストが入っているのは、全体の約4分の1の都道府県に過ぎず、ページ内の画像に一つも代替テキストが入っていないという事例もあった。
特に問題があった都道府県では、ページ内のテキストがほとんど画像化されている上、それらに全く代替テキストが入っていないために、緊急時に必要な情報が音声読み上げソフトを利用している市民に全く伝わらない。これには早急な改善が求められる。
ページタイトルについては、3都道府県が全く入っていない。また、14都道府県では単に「防災」「消防防災課」といったページ名しか入っていなかったが、都道府県名も入れることで、どのサイトにいるかが識別しやすくなると考えられる。
(表の中の各項目の数値は該当都道府県数)
評価 | ページタイトル | 画像の代替テキスト | リンク文章 | 表組みの指定 | 見出し要素の指定 |
---|---|---|---|---|---|
基本的なアクセシビリティ確保に問題なし | 30 | 12 | 26 | 0 | 6 |
アクセシビリティ配慮がなされているが改善が望ましい点がある | 14 | 11 | 1 | 0 | 7 |
明らかにアクセシビリティの問題がある | 3 | 23 | 20 | 3 | 34 |
対象の要素がないので判断外 | 0 | 1 | 0 | 44 | 0 |
ほとんどの都道府県で、発展的対応は手付かず
トップページ、防災情報ページとも、HTMLファイルの見出し要素の指定が適切に行われているのはわずか6都道府県であった。このことから、タイトルや画像の代替テキストには一定の配慮が進みつつある一方、文章の構造化まではアクセシビリティ確保の意識が届いていないことがわかった。