A.A.O.ユーザーテストレポート
2-1. 岡野五恵さんのご紹介
- テスト実施日:10月6日(木曜日)10時30分~14時30分
- テスト実施場所:岡野さん宅
自己紹介をお願いします。
14年前に網膜色素変性症の診断を受けました。進行性の病気ですので年々進行していって、6年くらい前から白杖を使い始めました。ずっと働いていたのですが、書類が読めなくなったので昨年退職しました。
普通の墨字が読めなくなって困っていた頃、パソコンボランティアと出会い、パソコンを使えば自分の目にあわせて文字が見えることを知りました。パソコンを使えば病気が進んでいっても、まだ何かできるかもしれないと思いました。(※墨字:普通の印刷物は黒いインクで印刷されていることから、点字に対して墨字といいます。)
網膜色素変性症は、人によって色々な症状がありますが、私の場合は視野が狭くなる症状で、視野の97%が欠損しており、ドーナツのような形で見えます。中心視野(ドーナツの穴の部分)は見えますが、中心から外れた輪の部分はぜんぜん見えません。ドーナツの輪の外に何があるかは分かりませんが、何かがあることだけは分かります。
では、大きい字なら良いかというと、大きすぎると焦点から外れてしまうので何が書いてあるのか分からなくなります。
色は、コントラストがハッキリしていて、ある程度の大きさがあれば何とか認識できます。今日のようにどんよりした天気だと見えないし、かといって日差しが強くてもまぶしくて見えません。カーテンを閉めても画面が白っぽく光って見えにくくなります。昼間は苦手です。夜は割とはっきり見えます。
私は中心視野が残っていますが、中心視野が欠けていてドーナツの輪の部分で見ている人もいます。私は黒に白ですが、白に黒の人もいます。人によって様々ですが、周りからの光の加減の影響が大きいですね。
普段どのようにウェブを使用していますか?
パソコンを使う上では、白黒を反転させたハイコントラストを用いています。また、文字を拡大しています。音声読み上げソフトも導入しているのですが、少しでも見えるうちは自分の目で読みたいので、あまり用いていません。でも、数ヶ月前から物が二重に見えてきて、モニターがふたつ見えるときにはパソコンの使用は諦めています。
よく利用しているウェブサイトと、その理由を教えてください。
- パソコンボランティアのサイト
- 参加しているからです。
- 健康やダイエットのサイト
- 私は健康オタクなんです。健康に良いと聞くとすぐ内容を確かめたくなるんですね。継続できるかどうかは別問題(笑)
- 本のサイト
- タイトルにひかれたとき、どういう内容か知りたくて見に行きます。
- 時刻表や乗り換え案内・宿泊施設サイト
- 切符の予約もそうですが、出かけた先で自分の目で確認できないので、出かける前に頭の中にインプットすることが必要なんです。
- 料理のレシピのサイト
- おいしい物を食べたいし食べさせたいんですが、もう本じゃ見えないためです。
- 行政のサイト
- 広報のテープを聞いて、いっぱいお願いできることがあることを知りました。また、自分たちの声をインターネットを通じて届けることができるようになったことを知って、見に行くようになりました。行政に対して要望をするとき、制度などについて情報を知らないと要望すらできないことを思い知りましたので、行政のサイトで確かめるようにしています。
ウェブサイトを利用する際に、どのようなことで困っていますか?
けっこう写真とか載っていたりしますが、あれって見えないし、写真の説明が入っていないものがけっこう多いですね。そういうページに出会うと、拒否された感じがしてその先に進む気が失せてしまいます。
リンクの張ってあるのがどこなのか分からないことが多いのも困ります。マウスを乗せて手の形にかわるから、そこなんだとは思いますが、乗せなくても分かるように作ってあるといいですね。
フレームで縦分割されていると、そのとき見えている部分しか見えないので、隣のフレームに何が入っているのか、何度も何度も戻らなくてはいけないので疲れます。フレームは無いほうがうれしいです。
字の大きさが変えられないページも困ります。すごく読みたいページであっても、結局見えないので、見るのを諦めます。大きい字を小さく、小さい字を大きくと自由に変えられるといいですね。